

マネックス証券代表取締役社長CEOの松本大氏は、ロイター・ウエルスマネジメント・サミットで「日本の人口やリソースを考えると、金融ビジネスを国の重要な産業として考えて欲しい」と語り、新政権に対しては、現在、政権の政策が明らかな形で提示されていない金融について、一刻も早く議論ができるよう大方針の提示を期待している。
個人投資家の足元の投資行動について松本社長は「投資家はリスクテイカーであり、先行きに不安があれば投資行動的にはリスク回避的な側面が出てアクティビティは減る。ある意味、消費行動と似ている。ただ新政権発足後、数週間が経ち、安心感が出てきたこともあり、10月に入り戻りつつある」と語った。
また最も伸びているのが外国為替証拠金取引(FX)だとしたうえで、その背景については「FXが売りからでも買いからでも入れるという、どういう相場環境でも取引しやすく、かつ個人投資家の立場からは最も透明でフェアでインサイダーも存在しない、誰でも取引できる場」であることや、「日本のように貿易が多く、世界との関係を意識して生きている我々にとっては、株よりも為替のほうがなじみがあるのではないか」と述べた。
FX取引のレバレッジ規制については「決まったことなので、どうこうということはない」としながらも「一部の業者等に問題や不適正な問題をなくす為に大ナタを振るって一緒くたに規制をかけているよりは、もう少し縦糸と横糸に分け、市場は市場で守り、よくない業者はしっかり取り締まる一方、リスクを取ると認識している個人の活動の自由を守るといった、そういう部分を残したやり方が、本当はいいのではないか」と感想を述べた。金融に関する規制では「一緒くたに規制をかけるよりも、縦糸横糸に分けた方が、将来の変化に対する対応がしやすい」と語った。
また政権交代を果たした民主党に対し「環境については温暖化ガスの25%削減目標といった方針を掲げたが、金融については政権の政策が明らかな形で提示されていない。また、もうひとつ明らかにされていないものとして少子化対策がある」と指摘した。
松本社長は、日本の株式市場にエンジンがかからない背景のひとつに少子化があると指摘。同社長は「少子化は強烈なデフレプレッシャーだ。株式はインフレアセットであり、この少子化を止めるという決意表明がされないと(株式市場には)心棒が入らない」とし、金融や少子化対策について政権としての大方針の提示が政権に対する最大の期待であり要望だとした。
松本社長は「日本の人口やリソースを考えると、金融ビジネスを国の重要な産業として考えて欲しい」と提言。「すべてを規制していくと、国策として金融ビジネスを取り込もうとしているUKやアイルランドにビジネスは逃げていく。日本という国が金融ビジネスを国の重要な産業として考えるなら、悪い事は規制するが、一旦は規制しても後で外せるような、産業として伸ばすような施策が組まれるべきなのかなと思う。新政権に期待したい」と語った。
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