東京証券取引所は、上場廃止などの審査対象になった企業による「不服申立制度」を今年夏にも新設する方針を固めた。上場廃止などの処分決定前に企業側の言い分を聴取し、東証の調査より合理性があると判断すれば、処分を見送る。東証は自らの上場を来年に控えており、上場に向けた利益拡大のために審査をゆがめることがないことを改めて明確にする。
東証は昨年11月、市場運営会社と上場廃止などの審査を行う自主規制法人に分離。自主規制法人の理事会は5人の理事のうち3人が弁護士や公認会計士など外部出身者で、審査の中立性を確保する体制にした。
ただ、上場企業が粉飾決算などで上場廃止の審査対象になった場合、自主規制法人の担当者が企業から事情聴取し、その報告を受けた理事会が処分の是非を判断する現行制度では、企業側の言い分が理事会に正確に伝わらない可能性もある。
このため、新制度では、企業が申し立てを希望した場合、理事会が直接、企業から事実関係を聴取したうえで、東証の調査結果と比較して処分を最終的に判断する。
申立制度の対象は、上場廃止や、年内に導入する上場規則に違反した企業に対する違約金制度などを想定している。
PR
COMMENT