投資信託協会によると、3月末の国内公募投信の純資産残高は前月比5.6%減の69兆7866億円となり、70兆円を割り込んだ。減少は2カ月ぶり。直近の60兆円台は06年12月の68兆9276億円以来。
株式投信への資金流入は07年8月から続いているが、株式市場の下落と円高による評価減を含む約3.8兆円の運用減が背景。期末という季節要因もあり、法人の資金需要によるMRFからの3700億円を超える流出なども影響した。
3月は東証株価指数(TOPIX)が前月比マイナス8.5%、日経225もマイナス7.9%となったほか、ダウ工業株30種もマイナス0.0%となった。他の海外市場も、ハンセン指数マイナス6.1%、インド株式市場(ムンバイSENSEX指数)マイナス11%、ブラジル株式市場(ボベスパ指数)マイナス4.0%など、軒並み下落したことに加え、円が対米ドルで4%強も円高に推移したこともあり、3月は評価減を含む約3.8兆円の運用減を計上した。運用減に関しては、07年11月に約4.3兆円、08年1月には約6.4兆円の運用減を計上しており「今回の運用減が取り立てて大きな訳ではない。むしろこれだけ市場が下げる中にあって、それほど資金は流出していないのではないか」(投信協会)との見方がされている。
公募投信全体の約83%を占める株式投信は、純資産残高が前月比5.8%減の57兆7497億円となった。2カ月ぶりの減少。設定額から解約額と償還額を差し引いた純流入額は3174億円となり、03年8月以来続いている流入超を維持したが、資金流入は前月同様、細ったままの状態が続いている。
追加型株式投信を商品分類別にみると、軒並みすべてのカテゴリーで残高減になっているが、毎月決算型やバランス型、インデックス型やファンド・オブ・ファンズ(FOFs)では資金が流入した。ただFOFsの過去1年の平均流入額は5000億円程度となっており、3月の流入額(361億円)はかなり細っているほか、国際株式型は今年に入り、資金流出が続いている。大手証券の投信担当者によると「為替や海外市場の動向を見極めたいという投資家が多い」との声もある。
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