ロシア証券市場に追い風が吹いてきた。4月末の指数はそれまで3ヶ月間の下げから一部回復した。その理由は、欧米企業の業績が懸念されていたほど悪化していなかったことによる。その後、世界的な景気減速懸念が回復に向いつつあるとの意見が出始めた。この4ヵ月間、ロシア市場は大統領選、ロシアの記録的な経済成長など、国内での重要な出来事をほぼ忘れていた。そしてここに来て突然、以前からわかっていたことではあったが、メドベージェフ大統領の就任、プーチン首相の任命という出来事があり、これらは今回の連休前(9日~11日)の市場を大きく動かした。
ロシア証券市場が2日連続で好調な動きを見せている。今回の上昇要因は国内にあると専門家は考える。「昨日の上昇は大統領就任とプーチン氏の首相への起用によるところが大きい。今日の市場の上昇はプーチン氏の首相就任決定及び彼の演説である。同氏は演説の中で、石油・ガス関連企業の税負担を減らす必要性に関して言及し、夏までに具体策を打ち出す予定であると述べた」とAlorのアナリストAnna Lyukanova氏は言う。
ウラジーミル・プーチン氏はすでに数ヶ月さまざまなレベルで協議されてきたこの減税問題について再度言及した。特に国会においてプーチン氏は「投資家層を育成することを本格的に考えなければならない。資金量が少ない投資家でも国内経済のさまざまな部門に投資するチャンスが得られるようにしなければならない」と発言した。
このためにプーチン氏は金融市場におけるインフラの最適化を行い、国家管理体制を整備することを提案した。「現在のところ金融市場ではルールが徹底されておらず、これが競争条件を不平等にしている。このため、金融機関を集結させ、時代に合った決済システムの導入を促す必要がある」と同氏は語った。また、デリバティブ商品取引を規制する法的根拠の作成についても述べた。「先物取引、オプション、先渡取引、クレジットリンク債などに関して、おかしなことに現在に至るまで投資家たちは自国法律ではなく、イギリスを含む外国または国際基準を採用しなければならない」またプーチン氏は、国内市場において公開型株式会社の設立及び上場がしやすい環境を作り、有価証券市場における優遇税制を整備することを提案した。
首相は、ロシアが今後世界的な金融センターになるであろうという考えを再び述べることを忘れなかった。「金融センターになることはわが国の民間セクターおよび国家の資金調達源を拡大させるために必要である。さらに、金融センターになることが実現すれば、世界経済及び金融の安定強化につながる上、我々の利益にもかなうだろう。また、現在の状況を有効に利用することによって、自己資本の海外流出、国家資金の投資による収益拡大及び国際市場におけるルーブルの立場の強化が見込まれる」とプーチン氏は語った。
一方、市場にもっとも好意的に受け止められたのは石油の採掘及び精製に関する税金負担引き下げの約束であった。「株式の上昇率はガスプロム 5.283%、ルクオイル6.185%、ノヴァテク4.433%、タトネフチ4.118%にのぼる。また、RTS指数は3.75%、MICEX指数は 3.24%上昇した。」と投資会社Russkiye Finansovye TraditsiiのIvan Alekseev氏は述べている。
アナリストのLyukanova氏によると、株価の上昇は経済実態によるものでなく、むしろ発言によってもたらされるものだという。同氏は「世界経済の概況は中期的には油断できない。来週アメリカのマクロ経済指数が公表されるとすでに株価は下方修正される可能性がある」と考えている。また、来週公表されるインフレ率が2008年後半の市場に影響を与える可能性がある。さらに、株価が現在のように高い水準にあるうちに利益を確保するため株を売却する傾向が投資家の間で強まり、さらなる下方修正がなされるかもしれない。
テクニカル分析の観点からすると現在の市場は好調である。出来高も多く安定しているために下がる気配はない。しかし、これは証券市場においては株価が急上昇しているときによく起こり得る現象であり、今後市況を注意深く見守っていく必要がある。MICEX指数の1790が、ターニングポイントとなる可能性があると投資グループAntantaPioglobalのアナリストStanislav Savinov氏は警告している。
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