18日の東京市場は方向感なく小動き。日本株には、欧州系、アジア系を中心に海外勢が買いを継続している一方で、日経平均が1万3500円に接近すると国内勢からの利益確定売りが増えてくるという。
JPモルガン・チェース(JPM.N: 株価, 企業情報, レポート)、メリルリンチ(MER.N: 株価, 企業情報, レポート)と続いた決算で市場の反応がポジティブだったため、日本時間の今夜発表されるシティグループ(C.N: 株価, 企業情報, レポート)の決算についても、様子見ムードを強める要因にはなっているものの、警戒感が連鎖的に高まる状況にはなっていない。
<1万3500円がポイント>
株式市場では日経平均が小幅に反落している。メリルリンチの決算が予想の範囲内だったほか、米グーグル(GOOG.O: 株価, 企業情報, レポート)の決算が予想を上回り、時間外取引で株価が上昇したことなどを好感して、朝方は買いが先行した。しかし、3日続伸の後で短期的な過熱感もあり、次第に上値が重くなった。
「欧州系、アジア系を中心に海外勢は買いを継続しているものの、節目の1万3500円に接近すると国内投資家の利益確定売りが増えてくる。売りをこなすため、多少日柄が必要になりそうだ」(大手証券マーケットウォッチャー)との声が出ている。
野村証券エクイティ・マーケットアナリストの佐藤雅彦氏は「日経平均株価は75日移動平均線の付近まで上昇しているほか、前日に4月7日の高値を抜いたこともあり、いったん利益確定の売りを出しておきたい向きが多いようだ。週末であるほか、ここ最近、金曜日はダウが下落する傾向があることも、利益確定売りの背景になっている」という。
今晩にシティグループの1―3月期決算を控えていることも見送りムードを強める要因になっているが、すでに信用収縮は最悪期を脱したとの見方から下値を売り込む材料も少なくなっている。「金融機関の収益水準は低いものの、ボラティリティー指数(VIX)などをみる限り、市場のセンチメントは好転している。前週末のG7でセーフティネット構築に関する官民での非公式の合意がなされた可能性が大きい」(SMBCフレンド証券株式ストラテジストの中西文行氏)との指摘もある。
日興コーディアル証券シニアストラテジスト、河田剛氏も「メリルリンチの1─3月期決算は赤字ではあったが、評価損の計上がこれまでより減ってきており、クレジット問題は最悪期を脱したようだ。金融機関全体としてみても、経営は当面厳しい時期が続くだろうが、株式市場の材料としては一巡しつつある」という。そのうえで「今回の米企業決算はまだ15%程度しか発表されていないが、出だしはそう悪くない。IBM(IBM.N: 株価, 企業情報, レポート)などの好決算もあり、金融機関を除けば増益を確保している。1─3月期が増益になれば、4─6月期も事業環境はそう変わらないため増益でいけるとみており、企業業績に対する安心感が株価を下支えそうだ」と語る。
投資家の恐怖感を測るバロメーターとされるシカゴ・オプション取引所(CBOE)のVIX指数は17日、20.37まで低下した。これは20.26で引けた2007年12月27以来の低水準。市場の恐怖感が後退していることを示している。
SMBCフレンド証の中西氏は「来週から国内企業決算が本格化するが、トヨタ自動車(7203.T: 株価, ニュース, レポート)の2割減益との報道にも反応薄だったことからも、市場の悪材料の織り込み許容度がかなり高くなってきているとみる。決算をこなしながら上値を試す展開も期待できる」という。
<円債市場、投資家の期初の買いに疑心暗鬼>
円債市場も売りと買いが交錯し小動き。メリルリンチは第1・四半期決算で、サブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)および他のリスク資産に関連して65億ドルの評価損を計上したが、アナリスト予想と一致したため、債券市場ではとくに話題にもならなかった、という。
現物市場では、主に銀行勢からとみられる中期買いが入り、同ゾーンの利回りが低下する一方、超長期ゾーンの利回りが上昇したため、イールドカーブがスティープニングした。ただ、動き自体は少ない。
外資系証券の債券ストラテジストは「10年債利回り1.4%、5年債利回り0.9%では買い興味が示されている」としている。
超長期ゾーンの利回り上昇について、外資系金融機関の債券ディーラーは「20年利付国債入札を控えて相場がスティープニングしやすいとの連想が働きやすい。先回りしたフラットニングポジションの利益確定売りか、新規にスティープニングポジションが構築された公算が大きい」と話した。
目先の関心事は、投資家動向との指摘も出ている。「国債需給に予想されたほど引き締まり感がみられず、参加者は、投資家の期初の買いに疑心暗鬼になっている」(前出の外資系金融機関)という。
外資系証券の関係者は「22日の20年利付国債に加えて、24日には2年利付国債の入札を控えている。週初めはスティープなのだろうが、後半はフラット化しやすい。ただそれがブルなのか、ベアなのかは判断がつきにくい。週明け以降は、期待通りに投資家の買いが入るかどうかが焦点となり、需給に振らされやすい週になりそうだ」と話した。
一方、ユーロ円3カ月金利先物は、上値の重い地合いが継続。限月交代し、中心限月となった08年12月限は前日清算値から2.0ティック低い99.180まで下げ幅を広げている。
金先は1月下旬にかけて、米国の利下げ継続や日銀の利下げの可能性を織り込んで急上昇した後、相場修正の動きが続いていた。ここ数週間は一段と日銀の利下げ観測が後退し、買い持ちポジションを膨らませていた海外勢から需給調整の売りが加速、中心限月ベースで4カ月ぶりの安値圏まで下落していた。ただ、ここにきて、金先の下落傾向も一服したとの声が出ている。
「ここからさらに下げるのであれば、イールドカーブが立つ方向の売り材料が必要。そうでないと、なかなか順イールドに戻らない。ただ、目下のところは利上げを織り込みに行けるような材料がなく、当面はこの辺りでの推移が続くのではないか」(国内金融機関)との声が出ている。
PR
COMMENT