アブダビ証券取引所のチーフ・エグゼクティブ、トム・ヒーリー氏はこのほど、時事通信のインタビューに応じ、日本や台湾などアジアの証券取引所との連携を強化する考えを明らかにした。さらに、2008年1月に行った東京証券取引所との業務提携などを通じた上場投資信託(ETF)の拡大を重点課題とし、「今年中に国内外のETFを4本上場させる予定だ」と述べた。
ヒーリー氏は、アジアの取引所との関係を強化する狙いを「国内に豊富な個人金融資産を抱え、ETF市場として拡大余地がある」と強調。その上で、アブダビ証取の株式売買代金が不動産と金融サービスの2大セクターに極度に偏っている現状を受け「電気通信など自国において弱いセクターのETFに注目している。今年中に海外籍のセクター別ETFを上場させる」と述べた。
東証との業務提携の具体的成果については明言を避けたが、東証が昨年11月に開発したイスラム投資家向け日本株指数「S&P/TOPIX150シャリア指数」に連動するETFを自国に上場させる可能性について「必ずしもシャリア指数にこだわらない」と指摘。電気通信や自動車のセクター別ETFにも高い関心を示した。
また、東証との関係が資本提携に発展する見込みについて「東証をはじめいかなる証券取引所の株式も取得するつもりはない」と全面否定。アブダビ証取としてアジア企業の上場誘致に関心があるか問われると「どの市場に上場するかは企業自身が決めることだ。海外提携の柱はあくまでもETFの上場促進だ」と述べた。
アブダビ証券取引所は2000年設立。アラブ首長国連邦(UAE)国内で最多の上場会社66社が上場、株式時価総額は1210億米ドル(昨年末時点)。昨年から今年にかけてアジア戦略を強化しており、日本のほかにシンガポール、香港、台湾の証券取引所と協力協定を結んでいる。
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