― 米国・ASEANビジネス評議会会長インタビュー ―
「今回訪問した23社のなかで、約半数がベトナム投資の準備ができている。現在米国は、対ベトナム投資を行う国で6位だが、二国間の投資協定が発効した暁には、米国企業によるベトナム投資が急増し、最大の投資国となるかもしれない」米大手23社による視察を行った米国・ASEANビジネス評議会のMatthew P.Daley会長に話を聞いた。
Q: 現在の米経済の後退は、米国企業のベトナム投資・ビジネスの決定にどのような影響を与えますか?
A: 現在私たちが目にしているものが、米経済の後退なのか否かということについては様々な見方があります。古典的な定義からすれば、6カ月連続してGDPがマイナスとなってはじめて、後退と呼ぶことができます。
ブッシュ大統領や一部の経済専門家は、この定義に基づいて、米経済はまだ経済後退の状況ではないと述べています。
しかし証券投資で成功した富豪Warren Buffet氏が、米国は経済後退の状況に陥っていると言うように、異なる意見もあります。双方で一致しているのは、米経済の成長が鈍化していることです。ですが、米国に入る輸入品の量は、全く減少していません。
Q: ベトナムの経済情勢について今回の企業団はどのように話していますか?
A: 先ごろ複数の困難を経験したベトナム経済ですが、私たちはベトナム経済が良い成長の弾みとなるものを持つと信じるに足る多数の根拠も見ています。政府の決意を認め、また政府が成長を犠牲にしてインフレ抑制を最優先するという正しい方向に進んでいると思っています。
私たち大手企業は、ベトナムでの戦略について長期的な視野を持っており、波に乗って利益を素早く得て立ち去るような企業ではありません。一日、一週間、一カ月単位での考えはなく、それは数十年単位、数世代にすら渡るものです。
また、インフレ問題が一朝一夕に解決できるものではないと、はっきり認識していますので、長期的な視野から、ベトナムへビジネスチャンスの視察に行こうと米国企業に話すことに、何の困難も生じていません。
このことは、ベトナムが現在、外国投資家にとって重要な投資先になっていることを意味するものです。2~3年後には、ベトナムでの最大の投資家は米国だと、米国の投資家が誇るようになると信じています。
Q: ベトナムの完全な市場経済国への進度について、どう評価されますか?
A: 答えは、現在速度が非常に安定し、著しい、というものです。ベトナムはすでに後戻りできないところまで来ており、唯一の道が、前へ進み、貿易と投資について経済を開放することです。
Q: ベトナムの世界貿易機関(WTO)加盟時の誓約実現について、何か問題があると思われますか?
A: 個人的な視点から見て、WTO加盟から1年でベトナムが相当の進歩を果たしたと感じています。評議会でも、ベトナムのWTO誓約の実現に関して、ひとつの重大な問題も会員企業から聞いたことはありません。
もちろん、これが完全なものであるという意味ではありません。実現過程で多少の問題はあるでしょうが、全体的に見て、ベトナムの誓約事項の実現は、計画どおりに進んでいると思います。
Q: 今回の訪問では、どのような具体的成果を得られましたか?
A: 今回の企業団の訪問は、サインするだけの契約書を携えて、というものではなく、ベトナム政府の戦略方針に触れるなど、優先事項を理解するというものでした。これを通し、ベトナム政府が米国の投資家に限らず、外国投資家全体が何に関心を持ち、何を望んでいるのか把握する助けになればと思っています。
今回の訪問団には、発展するベトナムの建設分野、自動車用ガラス産業に提供するため、フロートガラス生産工場設置を検討している企業があります。原子力エネルギー分野に関心を抱いている企業もあり、各社は発電所への投資の準備ができています。交渉を行っているところで、ベトナム政府が首を縦に振りさえすれば、先に進むことができます。
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