ベトナムのグエン・タン・ズン首相が6日開幕した国会の冒頭演説で「インフレ抑制政策を今後の最重点課題とする」と発言し、投資家の失望感が広がっている。株価低迷は政府の金融引き締めが背景にあるが、物価上昇には歯止めがかからない。追加引き締めを警戒して、ベトナム株式相場は底値を探る動きが続いている。
ベトナム統計総局がこのほどまとめた4月の消費者物価上昇率は前年同月比で21.42%に達した。特に食料品の値上がりは著しく、小麦や豚肉は1年前の倍以上。ガソリン価格上昇の影響で、野菜など地方から都市部に輸送される食材の値上がりも激しい。
政府内でも「これ以上の物価上昇は社会不安を招く」として、金融引き締めの強化に異論は出ていない。一方、低迷する株価対策についての議論は「ほとんどない」(政府関係者)のが実情。「インフレが収まるまで株価の回復は望めない」といったあきらめムードが漂う。
米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は5月に入り、ベトナム政府の金融引き締めで成長が減速するリスクが高まったとして、ベトナムのソブリン格付けの見通しを「安定的」から格下げの可能性がある「ネガティブ」へと変更した。経済政策の手詰まり感が強まり、海外からの視線は厳しくなっている。
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