金融庁は23日、インターネット証券最大手の「SBIイー・トレード証券」に業務改善命令を、中国株中心のネット証券「ユナイテッドワールド証券」に5日間のすべての業務停止および業務改善命令を出した。インサイダー取引などの犯罪を防ぐ内部管理の徹底など厳しい法令順守を迫る内容で、急拡大したネット取引業界への「警鐘」だ。
インサイダー取引防止のため、上場会社の役職員などの顧客は「内部者登録」することが必要だが、SBI社では多数の登録漏れが見つかった。売買審査も形式的なもので、ずさんだった。金融庁は原因究明と内部管理体制の改善を求めた。
ユナイテッド社は、4年前の検査でシステム障害などのリスクの管理体制の不備を指摘され、改善策をたてたが、多くが実施されていなかった。さらに「なりすまし」の疑いがある多数の口座を発見しながら、本人確認を怠っていた。金融庁はシステムリスクの管理体制の改善や責任の明確化を求めた。
日本証券業協会のまとめによると、ネット取引の口座数は1353万(08年3月末)にのぼり、5年間で3倍超に膨らんだ。自宅のパソコンや携帯電話から取引できる手軽さが受けて急拡大した。
ただ、口座の開設から株の売買まで、証券会社の社員と顔をあわせたり電話でやりとりしたりする機会が少なく、他人名義での口座の開設や利用、不正取引に使われやすいとされる。野村証券の元社員らによるインサイダー取引事件でも、複数のネット証券の口座が使われた。
SBIは処分に対し「内部管理体制の強化、充実を図っていきたい」とするコメントを発表したが、業界内には「膨大な顧客とその取引をすべて疑ってかかるわけにもいかず、限界がある」(別のネット証券幹部)との声もある。
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