金融分野の大多数の企業が、今年の事業計画の変更を余儀なくされている。国営大銀行傘下で資本金5,000億ドン(約3,125万ドル)のF金融投資株式会社では、以前は週1回程度だった会議をこの1カ月、経営陣や各部門でたびたび行っている。会社では今年初めから資金繰りに問題が生じており、会議では金融市場の最新情報をもとに、会社の方針や親会社への報告について話し合われている。
ある会議では、年初に出された戦略をもとにした事業や投資の拡大を一時停止する通知がだされた。経営陣は電気、水道料金、家賃の節約を呼びかけ、昨年は四半期ごとに支給されたボーナスも今年はない。
中小の証券会社、特に2006年末に事業許可を得た新参の会社ではこの1カ月、暇を持て余している状況だ。真新しく美しい店舗に客はまばらで、取引量は最盛期の30分の1まで落ち込んでいる。
Bao Viet証券(BVSC)は3月27日から、個人・機関の両投資家に対し株・受益証券の購入手数料を50%割引いている。値幅制限をホーチミン市証取が1%、ハノイ証取が2%としている間適用するもので、Nguyen Quang Vinh社長は投資家と市場の支援を目的としたものと話している。
市場低迷によりBVSCの取引量は通常の5分の1になっており、以前は1日でおよそ6,000億ドン(約3,750万ドル)取引していたものが今は約1,000億ドン(約625万ドル)になっている。しかし彼らは安定した基盤を持つ証券会社のひとつでシェア14%を持つことから大きな心配はしていない。
深刻なのは従業員100人前後の中小の証券会社だ。この規模の証券会社の活動経費は月50億~70億ドン(約31万~44万ドル)。売上がこれを下回っても、一時的ならバランスをとれるが、市場低迷が長期に渡れば、事業の縮小を余儀なくされ、倒産の可能性もでてくる。
ある銀行幹部は、「多くの金融関連企業が事業計画を変更するのは確実で、市場がこのように急激な変化を続けるようでは完全な方向転換を迫られる企業もある」と話している。
彼はまず、銀行や金融会社の事業計画の大部分が、政府機関の予想やその他2007年末に出された楽観的な予想に基づいている点を指摘する。
第2に銀行については国家銀行が商業銀行に融資引締めを要請したり、通貨引締め策を出したことにより、彼らを受身にさせた。
第3には為替についてで、為替レートが長いスパンで変動したのなら企業や銀行は対策を講じることができるが、突発的な変動では企業に選択肢はなく、それを受け入れるか、利益を削る、赤字に耐えるしかない。
投資ファンドの当面の対策は株や受益証券から債券へ移すことだ。証券会社はまだサービスの多様化にいたっておらず、ただ待つ以外に道がないように見える。銀行も証券や不動産の困難に直面しているが、状況にあわせた方向性を見つけ始めたようだ。
ベトナム投資開発銀行(BIDV)はこのほど、2008年の融資成長率を25%と設定した。年内に資産と負債を調整し、その中で現在の最大の問題である融資残高にそった融資の成長のためのドンとドルの割合を再構成する。
BIDV資本通貨委員会のNguyen Manh委員長は「現在のようなドルの需給バランスではドル決済が近い将来非常に低い水準になり、今後3カ月での最大の問題となるだろう。我々は外貨の対応強化に向け構造改革をしているところ。ドル偏重の状況に替え、市場の状況によりフレキシブルに対応できる外貨政策を打ち出せるよう研究を進めている」としている。
銀行各行の外貨業務は、これまでは顧客のニーズに応えることが主で、ほとんどが外貨営業部門を持っていなかった。それを今改める動きがある。
ドル以外の外貨は公示レートからの幅が制限されていないが、近くドルも制限がなくなれば完全に各行の判断になる。BIDVはすでにドルの為替変動リスクや金利リスクを評価するため諮問委員会と会合を持っている。
小規模行はドルに関するリスクを回避するのが難しくなるが、銀行システムが密接に連携している状態ではすぐに対処しなければ銀行の決済能力を失ってしまう。一行の問題は銀行システム全体に影響するのである。
市場の変動によるリスクを抑えるため取引通貨の多様化を考えている企業も多いが、まだ簡単ではない。多数の企業は銀行の為替レートに対する保険について加入したくない、もしくは知らないという状況だ。専門家は為替の問題について輸出入や企業の経営に影響するだけでなく、マクロバランスにも影響するものだと指摘している。
金融分野では情報システムの弱さも問題になっている。各社は個々の計算手法や結果を用いており、本来はひとつの表示方法、ひとつの取引方法に沿っているべき金融機関が出す金利や為替の情報も正確とはいえない。2007年の実質的な融資の成長率といった基本データでさえ管理機関によってばらばらの状態だ。
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