ベトナム繊維製品の対日輸出は2008年、8億ドルに達すると予測されている。この数字は、両国間での経済連携協定(EPA)により、さらに高まると見られている。
EPAは基本的には完成しており、2008年9月もしくは2009年はじめに発効する見込みだ。このなかで日本側は、ベトナム繊維製品が日本への輸出に際し関税0%を享受する条件として、国内で生産され、使用される原料が国内のもの、または日本もしくはASEAN諸国から輸入されたものであることという条件を示している。
この条件をクリアできれば、ベトナム繊維業界は輸出促進、競争力の強化など様々なメリットがある。毎年の繊維製品の輸出量で日本向けは10~12%を占めており、2007年の輸出額は約7億400万ドルだった。現在適用されている税率はおよそ10%だ。
ホーチミン市縫製協会のDiep Thanh Kiet副会長はこの条件について、容易くもあり、難しいものでもあると言う。容易と言えるのは、ベトナムに限らずASEAN諸国から原料を調達できる点で、難しいのは、現在ベトナムが調達する原料は台湾、香港、韓国、中国が主で、ASEANからが少ない点だ。日本への輸出に際し関税0%を享受したければ、企業は供給業者を変更しなくてはならない。
「短い時間での供給業者の変更は難しいが、日本への輸出を継続したいなら必要だ」Kiet氏はこう話す。企業は主体的に、まずは国内と日本、そしてタイやインドネシアなどの調達元を探すべきだとしている。
現在、国内原料は繊維業界の需要の30%にしか対応できていない。Sai Gon縫製社のNguyen An社長は、日本市場が製品の選択に厳しい中で、国内原料は限られていると指摘する。
条件をクリアする二つ目の原料供給元は日本だが、日本の繊維原材料生産業は縮小傾向にあり、日本と比べ生産コストが安いタイやインドネシアなどにシフトしつつある。
残るASEAN諸国は、ベトナムの繊維業界が求める70%の原材料を供給できるだろう。第一に、これらの国々の原材料産業は主に日本から技術移転を受けており、品質や多様性も日本向けの輸出製品に適したものとなる。第二に、これらの市場からの運送コストも、日本や中国、台湾、香港などからと比べ低く抑えられる。第三に、ASEAN諸国企業には原材料の輸出需要があり、輸入の利便性は高い。
現実的に見て、これらのひとつを頼るだけでは不安が残る。いずれの市場もそれぞれに、メリットとデメリットがあるからだ。そのためKiet氏は、ASEAN-日本包括的経済連携協定(AJCEP)の規則を加えて利用する形が最も合理的だとしている。
この規則では、国内原料とASEAN諸国及び日本から輸入した原料を組み合わせて生産し、日本に輸出することが勧められており、必要性、日本の顧客からの需要に応じ、企業は原料調達元を適当に選択できる。
現在、多くの企業がすでにこの生産方法を取り入れている。Sai Gon 3縫製社のPham Xuan Hong社長によると、日本向けに輸出されるベトナム繊維製品では、約50%が原材料の原産国基準をクリアしている。
またKiet氏は、これらの市場から原材料を100%輸入することも可能だが、ベトナム企業が極めて消極的なことが問題だと指摘する。この原因として彼は、日本向けのベトナム繊維製品の90%にも達する加工率の高さを挙げる。減税となっても利益を享受できるのは輸入側のみでしかないため、多くのベトナム企業は関心がなく、輸入側が探し、指定する原料元を利用している。
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