金や原油などの商品価格に連動する上場投資信託(ETF)が月内に、東京証券取引所に上場される。東証は7日にも上場規則を改正、第1号としてニューヨーク証券取引所に上場している金ETFの上場が決まる見通しだ。東証は東京工業品取引所と協力協定を結んでいるが、実績のある海外ETFなどの上場が進めば金融・商品取引が東証に一極集中し、国内取引所の淘汰(とうた)が起こる可能性もある。
≪国内取引所の淘汰も≫
ETFはこれまで株価指数に連動するタイプに限定されていたが、金融庁が昨年末に公表した「金融・資本市場競争力強化プラン」でETFの多様化を提言。これを受け東証が上場規則の見直しに着手していた。
米国の低所得者向けサブプライム(高金利型)住宅ローン問題をきっかけに、株式市場から商品市場に資金が流出。商品価格が高騰しているが、商品ETFの上場は投資資金を株式市場に呼び戻すことになる。
国内運用会社によると、米ステート・ストリート投信投資顧問が、ニューヨーク証取に上場している金ETFの重複上場を東証に申請する方針。他の海外投資顧問も商品ETFの上場に関心を示しており、国内大手も商品開発を急ぐ方向だ。ただ、こうした動きは、東証の国際競争力を高める一方で、東証と、商品取引所を含めたその他の国内取引所との格差拡大を招くのは確かだ。
東証は今年1月、東工取と協力協定を締結。東工取の扱う金や原油先物価格と連動した商品ETFの取り扱いや、排出権市場創設に関する共同研究を行うことにしているが、東証に上場する海外の商品ETFの品ぞろえが充実すれば、東工取の存在意義は薄れる。
排出権市場も、共同研究とはいうものの、昨秋の金融商品取引法の施行で東証による設置は法的に可能になったが、東工取は設置できない。このため、東証は、関係省庁や財界に呼びかけ、4月にも独自市場の創設準備に入る意向を固めている。
経済財政諮問会議(首相の諮問機関)や金融審議会(同)は、国内取引所の統廃合を視野に入れた総合取引所構想を提唱している。だが、国内では中核的な存在である東証にしても、世界的な取引所再編の渦中にあり、生き残りをかけた東証の「総合化」が一段と進む見通しだ。
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